いのちのことば社月刊manna2022年6月号表紙絵は「ジューンベリー」。
ちょっとだけ私流の制作プロセスをご紹介。
まずはラフスケッチ(右)をトレーシングペーパー(左)に清書。このトレぺ画面を基準に絵を制作してゆきます。
まずは下地にワインカラーの和紙を貼り、その上に背景に素材の繊維が散った素朴な風合いの薄い紙を貼ることにしました。下地のグラデーションをうっすら拾ってほしいので。
背景の紙を2枚ぴっちり貼った上に「ボウル」用の白い私紙を貼しました。糊で貼ることで下の和紙素材が透けてしまうので、同じ紙をさらにもう一枚重ね張ります。
器の陰影のために「土佐典具帖紙」という極薄紙を使います。微妙なグラデーションが入っているので、自然な陰影にふさわしい場所がどこかないか?と探します。
めあての典具帖紙をそれなりの形にちぎり出して「影」を貼っています。
典具帖紙をもう一枚ずらして濃い目の部分を追加。ちょっと立体っぽくなってる?
色味のアクセントとなる緑の葉を貼ってみます。この時葉っぱの背後にも白い和紙を捨て貼りしています。面倒なんですが、そうしないと緑の和紙が背景の茶色を拾って濁って見えてしまうので。時々ちょっと赤みを置いて、それぞれの色あいのバランスを確認します。
まず果実の赤の基礎色を一面に貼りまして・・・
いざ粒々を貼り!ジューンベリーの色づきは濃淡あって実に複雑。そこが面白いところですね。ちぎり絵は画面の奥から貼ってゆくので、果実にかぶる葉を貼るのは最後です。
果実は事前に一杯ちぎっておきます。丸くちぎるのは、鉄筆で和紙に筆圧をかけると簡単。写真は小さなお菓子の箱にマスキングテープ(黄)を丸めて貼って、粒々を仮置きしているところ。こうしないと机上が散らかってしょうがない←自己流(笑)
粒々をみっちり貼って、ボウルのフチにグレーの和紙を貼って、と最後の仕上げに向かっております。葉の陰影を貼ってから最後に葉を貼ってゆきますl
でけた!「いざ納品発送。制作は少なくとも発行の3か月くらい前です。
モデルになったのは下の写真。
数年前に表紙絵のお仕事をいただいた「366日元気が出る聖書の言葉」の著者、岩本遠億先生がSNSに投稿されていたのをわけて頂きました。昨年ご自宅の庭での収穫だそうですが、実は器のフォルムもそのまんまですがな(笑)。感謝、感謝です!
6月の憂鬱をはじき返すような鮮烈な果実の色。熟すほどに深みを増してゆく赤色の豊かさ。いづれ写真ではなく本物を見たいです。って、まだ見たこと無いんですよジューンベリー。←えええええーっ!(汗)