和紙の色と光と

*ちぎり絵制作の日常をあれこれ綴っています

しばらく前のことですが某所で個展をしていた時、ふらっとご来場下さった方から「これは和紙を貼ってから彩色したのですか?どうやって?」と尋ねられたことがあります。
一瞬、質問の意味がわかりませんでした。よくお話を聞くと、その方はそれまで「和紙は習字の半紙や障子紙のような白いものしかない」と思っておられたのだそうです。
ああ、なるほど~!

確かにテレビなどで放映される「紙漉き」の和紙は決まって白い。その色のない和紙に染料をしみこませたのが「染め和紙」。それをちぎって貼るのがちぎり絵です。でも、その染め和紙があるのは和紙の専門店や画材店や手芸品売り場です。

染め和紙は単色染めも、グラデーション様のむら染めも、たいてい和紙売り場に行かなければ目にしません。しかも綺麗に折りたたんで陳列棚に収まっています。興味を持ってそれを広げてみなければ、それが染め和紙で、どんな色具合なのか知ることはほぼないでしょう。

和紙売り場がそのような陳列形式なのは、染め和紙が光源によって退色しやすくて大きく展開した陳列はできないからです。特に和紙は蛍光灯には弱くて、光を受けた部分は確実に退色してゆきます。「モノによっては3か月程で売り物にならなくなる」そうです。

染め和紙が認知されず、日本人でも、いや、もしかしたら日本人だからこそ和紙は障子紙や書道の半紙のような白いもの、と思っておられる方がいる?
むむむ、それって無理ないかもなあ・・・と思ったことでした。

 

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