久留米キリスト教会 2023年12月3(日)~4(月)

東京都東久留米市にある久留米キリスト教会は東武池袋線東久留米駅徒歩5分、静かな住宅街にひときわ高い十字架がよく見えます。教会の隣接地には数本の柿の木がある畑地がわずかに残り、その熟柿が教会のテラスから見える落ち着いた環境でした。

      

さて今回の作品輸送は、教会員のSさんご夫妻が引き受けて下さいました。自家用車(大きめのRV)で昼過ぎに熊谷に来て頂き、関越道であっという間に東久留米に到着しました。

会場は教会1階の広々としたホール(マルチルーム)。普段はパーテーションで仕切って教会学校や、ゴスペルクワイヤの練習、読書会、喫茶&カフェなど多目的に使われている場所です。以下は設営プラン図。

私はどの会場のでも数か月前に図面(壁面の寸法、材質、日差し、照明環境などがわかるもの)を頂き、早めに作品の配置や展示方法を決めてゆきます。設営当日はその計画図を拡大コピーして、教会の皆さんと共有。これを基に手分けして作業をすすめます。

 

会場の入り口付近。創世記1章1節をちぎり絵にした作品でお出迎え。額はパーテーションにワイヤーで吊っています。このパーテーションは面が梨地(凹凸あり)で吸盤フックは使えず、ピンも打てない材質。天井との空間は指がやっと差し込める程度しかなくL型フックも使えない。ちょっと困りましたが・・・・

ホームセンターをぐるぐる回っていたら「曲げ板金具」というものを発見。一本128円、手で曲げられる、いいじゃん!これなら狭いパーティション上部にも差し込める!

  

というわけで、下写真のように二人で向き合って曲げ金具を差し込み、せーの!で両側を曲げればオッケー。パーティションの上部には天井とのすき間を埋める柔らかい素材があるのですが、それを痛めないよう金具の下にゴムシートを挟んで念入りにカバーしました(教会の建物を傷つけない設営を心がけています)。

教会の皆さんの多大なサポートを得て、設営は順調に進みました。

入口付近。折り戸のクローゼットに、コクヨのひっつき虫という素材で、私の日めくりカレンダー「片隅の花でも」と「心ほどいて」を貼っていただいています。これは和紙ちぎり絵に聖書の言葉と、私の短い文章を添えてあります。教会は初めてという方に、福音のカケラでもお持ち帰りいただけるようにと願って。

二折り両開きのクローゼットですが、ちゃんと開閉もできるように貼って下さいました。美しく、お見事です!!!

設営がほぼ済んだところ

   

   

  ピアノの上にはピアノの作品を飾ってみました。

こちらはホールに隣接して普段は「談話室」として使われている部屋。書棚に作品を展示しています。

物販コーナー。ワークショップのご案内を脇に置きました。

そしてオープン!初日は日曜日なので、2階の礼拝堂からエレベーターで降りて来られた信徒の皆さま(大先輩!)が一番乗り。会場スタッフが一人一人にお声がけして「ちぎり絵展鑑賞ガイド」と森住のトラクトをお渡しなさっていました。

   

     

2日めは久留米キリスト教会「喫茶グレイス」の開店日。毎週月曜日、教会の有志がキッチンで美味しいケーキを焼いて地元の方々に提供しています。街のパティスリー顔負けの美味しい焼き菓子は米国の宣教師夫人のレシピがルーツ。年月とともに研鑽を重ね、毎週いろいろなお菓子が登場するみたいです。お菓子がズラリの下の看板に注目!この中から約3種類のケーキが提供されています。

   

お値段は300円が「目安」の献金制。ぜんぶ美味しいです!←全部味見した(笑)。

開店は10時。テーブルにトラクトを置いてお客様を待ちます。

開店と同時に、近くの福祉施設の皆さんが職員とご一緒にどっとご来店。ご常連さんだそうです。

お菓子を召し上がった頃に、賛美歌の時間。奥にあるピアノの伴奏で「いつくしみ深き」と「主われを愛す」を皆さんで歌います。楽譜が配られますが、皆さんはもう歌詞をすっかり覚えておられるご様子でした。

ピアノ伴奏は喫茶グレイスのスタッフのOさん。エプロン姿の喫茶グレイスのスタッフも一緒に歌います。テーブルの輪の中には、この喫茶がきっかけで信仰を持たれ受洗された方もおられました。とってもあたたかい雰囲気の良い時間です。

午後のトークイベント。ちぎり絵を始めたきっかけや、その後クリスチャンになった経緯など30分あまり、画像と共にお話させていただきました。

ワークショップ様子。1時間半ほどでクリスマスツリーを制作。作品は額に入れてお持ち帰り。その前に記念撮影でパチリ。

 

二日間という短い時間でしたが、100人を超える来場者の皆さんに楽しんでいただいたそうです。「二日で外しちゃもったいない、もっと飾っときたい!」という教会の方のお声がうれしかったです。

また、これまで教会に誘うのが難しいと感じていたご家族や、職場の上司が、絵の展示イベントと聞いて初めて教会に来てくれ「教会は思っていたより気軽に入れるもんだとわかった」と言われてうれしかった、という話を聞いてとても励まされました。


今回のちぎり絵展は教会の伝道部と、喫茶グレイスのスタッフの皆さんが大きな役割を果たして下さって実現しました。教会の扉を開き、地域の人たちを長年迎え続けたグレイス皆さんのご奉仕の結晶のようなイベントでした。

 

今年の秋の福島第一聖書バプテスト教会でのちぎり絵展でも思ったことですが、教会に誰でも来て座れる椅子があって、お茶と美味しいものがちょこっとある、それはすごい事だなあ~と思いました。久留米キリスト教会の皆さん、素晴らしい時間をありがとうございました!

福島県いわき市エリムの泉 ギャラリーROOM316

会期:2023年9月27日(水)~10月1日(日)
主催/エリムの泉 ROOM316 共催/福島第一聖書バプテスト教会

福島県いわき市泉町にある多目的福祉施設「エリムの泉」は、2011年の東北大震災と原発事故により同県大熊町から避難移転した福島第一聖書バプテスト教会が設立母体の宗教法人です。緑地と植栽を備えた敷地に地域の皆さんがくつろげる図書室もある多目的ルーム通称「サロン」(正面)や、和定食中心の食堂「野みつ」(左棟)があります。職員の多くは福島第一聖書バプテスト教会の信徒さんたちです。

食堂「野みつ」は美味しさと膳立ての美しさからSNSで評判となり、今や地域の隠れ家的人気店となっています。通常営業のほかに、子ども食堂や独居高齢者向けの無料ランチを定期的に実施しています。写真右は、日没後のアプローチ風景。

   

そして宿泊居住棟(ケア付)は震災で住まいを失ったご高齢の方々などが入居なさっています。その建物の1階右端がギャラリー「ROOM316」。ちぎり絵展はここで開催されました。

ROOM316は、新約聖書ヨハネの福音書3章16節のことば「神は実にそのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」からの命名です。

実はこのちぎり絵展は2020年春、コロナ禍により会期の数日前に無念の中止となりました。その時は「エリムの泉」竣工お披露目イベントとしての位置づけでした。

 

これは2020年当時の案内状。すでに関係先に郵送され、全県にご案内済みでした。早春だったこともあり、教会の新たな旅立ちをイメージ、イースターがテーマのこの絵のタイトルは「復活」。

 

 

 

ということで、ここからはその復活したちぎり絵展をご紹介します。搬入当日の朝、自宅玄関に出した作品額や備品類の輸送は・・・

なんと福島第一聖書バプテスト教会の佐藤彰牧師夫妻が、自ら運転されるお車で私の家まで来て下さいました。前日から埼玉県入りしておられたのです。

恐縮しきりの私に、震災で他県に避難している教会員の問安を兼ねて移動しているのでお気遣いなく、という温かいお言葉。ワンボックス車に荷物を積んで東北道から常磐道へと走りました。

 

奥様も交えて車中で楽しくおしゃべりしているうちに、昼前にはいわき市に到着。現地ではエリムの泉の職員さんや教会の皆さんが待ち構えていて下さり、午後1時から設営を開始しました。

「ROOM316」は本格的なギャラリー仕様なので、設営は順調に進み、壁面に20数点、テーブルの平置きに十数点の作品を配置しました。

 

 

そしてオープン!5日間の会期中は近隣から、遠方から次々とお客様が来場。「3年間待っていました」とお声がけ下さる方も。展示テーブルの中央には外庭から採ったミモザの枝と紫陽花が活けられています。

7月の徳丸町キリスト教会で作っていただいた、作品の詳細を読める「鑑賞ガイド」。「福島エリムの泉バージョン」も用意しました。徳丸町キリスト教会のHさんがボランティアで作ってくれたのです。この鑑賞ガイドと一緒に、EHC発行の森住のトラクトを入場者に配り、その配布数によって入場者数をカウントして頂きました。

 

 

 

 

 

 

会期中は午後になると「野みつ」からスイーツが届きました。スタッフの皆さん本当にありがとうございます(感涙)。お昼ごはんも美味しく、毎回洗練された盛り付け!これはSNSに写真を挙げたくなりますね~♪

    

エリムの泉のちょっと奥まった所にあるこの建物。心を静めて祈るための小さな礼拝堂です。中は高い天井、十字架、木の椅子と小机がありました。

   

またお庭にはひっそりと水琴窟が! 「エリムの泉」の植栽や外構設備を担当されているクリスチャンの職人さん(埼玉県久喜市在住)が自作なさったと聞いてびっくり。

 

居住棟にはこの庭が見える本格的な「茶室」があり、このヴューは地域の方々を招く茶会は最高のおもてなしですね。写真では見えづらいですが、ここには水流で竹筒がカコーン!となる「鹿威し/ししおどし」もあります。

 

 

そしてこのお庭、何とミスト装置まであるのです。これもその方のいわば「手作り」だそう。この日、定期的なメンテナンスを兼ねてちぎり絵展に来場され、直接お話をお聞きしましたが、これ個人で造作なさったの?ええええっ⁉と、もうびっくり!

会期中はずっと強烈な日差しの猛暑日が続いていましたが、ミストが出ると周辺からわーっと歓声があがりました。でもショーではなく庭の植栽を守るためなんですね。「10年後に良い庭になるように手入れしてゆきます」とおっしゃる横顔が印象的でした。この庭は幸せですね…。


こちらは、エリムの多目的ホール。図書棚には絵本もあり子育て中のお母さんも入りやすそう。ちぎり絵展の会期中はご来場者のお休み処や歓談スペースになりました。

   

私のトークイベントもここで開かれ、スライド画像を使ってちぎり絵のことや、クリスチャンになるまでの経緯を、40分ほどお話させていただきました。ワークショップもここで実施しました。写真は佐藤将司牧師が私をご紹介下さっているところ。

これはホール備え付けのテーブル。卓を斜めにした状態で展示ボードに。貼ってはがせる練りゴムで接着しています。
今までにないテーブル活用法でした(笑)。

 

 

そしてここが、エリムの泉から徒歩数分にある福島第一聖書バプテスト教会、「泉のチャペル」。故郷の大熊町に向かって飛び立つ翼のかたちをしていて「翼の教会」とも呼ばれています。いつの日か故郷に帰る。そんな祈りが込められた建物です。

礼拝堂内部。正面の講壇の背後には、米国の教会から寄贈されたガラス洗礼槽が見えます。十字架のある壁の背後あたりに、震災後に亡くなって故郷に葬ることのできない信徒の皆さんの納骨室があります。骨箱と共に思い出の品も保管されていました。礼拝堂の側面にある聖書物語がモチーフのステンドグラスが非常に美しいです。

全部はご紹介しきれませんが、頭上のステンドグラスは夜になると教会の脇を通る主要道路から燦然と輝いて見え、ここに十字架を掲げた教会があることを街の人々に知らせています。

   

この輝きは、企業ロゴや商業看板が混然とする国道沿いに屹立する十字架とともに、重要な街のアイコンになっていると私は感じました。

ちぎり絵展最終日は日曜日。すっかり親しくなった教会の皆さんとご一緒に日曜礼拝を捧げ、短いご挨拶と感謝を述べさせていただきました。

 

「震災と原発ですべてを失った深刻な事情があるとしても、ある日突然いわき市にやって来て、教会を建てて集まっている『よそ者』が私たちです。だから地域の方々に私たちを知っていただき、少しでもお役に立つ働きを心がけ、教会が来てくれてよかったと言ってもらえるような私たちになってゆきたいのです。神さまのご栄光をあらわすために。」と、佐藤彰牧師は折に触れ何度もそう繰り返しておられました。

教会エントランス。震災からの怒涛のような流浪、奥多摩での避難生活、そして翼の教会へ。その物語を象徴するオブジェが飾られています。写真はその一部。佐藤将司牧師の妻、涼子夫人の作品です。

 

 

 

 

礼拝堂の隣にある教会のミーティングルーム。3年前に打ち合わせに伺った時には地域の方々の編み物教室が開かれ大にぎわい。奥のキッチンでケーキが焼かれ、コーヒーのいい香りがしていました。

 

コロナで中止となったちぎり絵展ですが、その間も神さまは背後で教会の営みを豊かに耕しておられました。当時は開業直後だった食堂「野みつ」はこの3年で地域にすっかり定着し、常連さんも多いお店になっていました。

教会はコロナ前からスペースを市民活動に広く開放し、イベントやサークル活動を通して地域の方々と粘り強く交流を持っていました。コロナでいったん途切れたその輪が今回のちぎり絵展で一気に復活し、会場のあちこちで市民の方々との再会があり、もう一度集まろう、そうしましょう!という声が広がってゆく様子を目撃させていただきました。

 

ちぎり絵展をお手伝い下さった教会のみなさん。右端は佐藤将司主任牧師。

 

「3年前のコロナ、あの時無理にちぎり絵展を決行しても、こんな素晴らしいものにはならなかったと思います。これが神さまの時というものですね。」という教会の方々の言葉が本当にうれしいちぎり絵展でした。福島第一聖書バプテスト教会の皆さま、いわき市のみなさま、県外遠方よりご来場の皆さま本当にありがとうございました。

 

 

 

銀座教文館2023いのちの夏フェスティヴァル 8/2(水)-14(月)

ひびきあう平和への祈り みことば・フルート・ちぎり絵
岩本遠億/紫園香/森住ゆき

「いのちの夏フェスティヴァル」は岩本遠億氏(言語学博士、神田外語大学大学院教授、キリストの平和教会牧師)と、紫園香氏(日本を代表するフルート奏者、NGOハンガーゼロ親善大使、日本クリスチャン音楽大学教授)という、私には遠い雲の上にいるような方々の催しに和紙ちぎり絵を加えていただき、銀座教文館3階ギャラリー・ステラで開催されました。株式会社ヨベル刊行の岩本遠億先生のご著書の表紙に和紙ちぎり絵を使って頂いたことからのお声がけでした。

   

銀座4丁目、歴史ある重厚な教文館ビルのロビーディスプレイにも大きく催事案内がなされました。折しも坂本龍一さんが逝去され、同じスペースにその著書やCDが飾られていました。
  

 

搬入は直前に展示会のあった徳丸町キリスト教会から教文館への直送便と、自宅から軽貨物便チャーターで持ち込んだものをあわせて、前日にいざ設営開始。

ギャラリーステラの入口はバイオレットの幕が特徴です。
  

原画はギャラリー壁面に全部で30点余り。物販品のテーブルは3人分の著書やCDなど、なかなか品数豊富でした。

初日から沢山の方々が。お客様のお目当ては、会期中ほぼ毎日ギャラリーで聖書のメッセージを語られる岩本遠億先生に会いたい読者のみなさん。先生の著書は次々ベストセラーとなり再版を重ねています。
会期中は画像も用いてイエス・キリストの時代の地理や歴史的遺跡などを紹介しつつ、日々力強くギャラリーから福音を発信なさっておられました。

 

私は会場の片隅で和紙ちぎり絵の制作実演を行いました。人前で制作することはめったにないこと。ちょっと緊張しつつ、月末の締め切りが迫る月刊誌の表紙制作を致しました。写真はその後発行されたいのちのことば社月刊マナ12月号。

  

この「いのちの夏フェスティヴァル」では、広島・長崎の原爆投下日にあわせて平和を祈念する「平和セレモニー」を開きました。会場は教文館ビル6階の特設会場。テレビ局やクリスチャンメディアの記者さん、取材カメラも続々と会場入りしてスタンバイ。

  

「平和セレモニー」はヒロシマ、ナガサキの原爆投下日にあわせて2回開かれました。岩本遠億氏ご自身が長崎の原発被爆者をルーツをお持ちであることもあり、当事者でなければ知り得ないエピソード、そのご親族でなければ語れない証しをお語り下さいました。

満席の聴衆はそのメッセージに引き込まれ、圧倒され、水を打ったようになり、岩本先生のお話が終わっても誰もすぐには立ち上がれないような感動に包まれました。

 

 

 

さらにセレモニーの感動は、紫園香さんの素晴らしいフルート演奏に引き継がれました。紫園さんの朋友、ピアニストの菅野万利子さんが応援に駆けつけて下さり息の合った素晴らしいアンサンブル。演奏の合間の紫園香さんのMCは、豊かな知性とユーモアに満ち、お二人の素晴らしい演奏とともに会場はあたたかい雰囲気に包まれました。

 

すべて入場無料の催しでしたが、NGOハンガーゼロ親善大使を務める紫園さんの呼びかけでセレモニー会場にはチャリティ募金箱が。ご賛助くださった多くの皆さん、大変ありがとうございました。

 

2週間というロングランの催事でしたが、猛暑にもかかわらず連日たくさんのお客様がお越し下さり私たちを励ましてくださいました。会場をご提供下さった教文館様、岩本遠億氏の著書を出版されているヨベル出版様にも大変なご尽力を頂きました。

また、この夏の私たちの出会いがきっかけとなり、この12月にはフルーティストの紫園香さんとピアニストの菅野万利子さんの共著がヨベル社から出版されました。「ヒャッホウ!おばあさんだって冒険したい!」

表紙画は私の和紙ちぎり絵、巻頭の推薦のことばを岩本遠億氏が寄せています。

紫園さんと菅野さんはこれから「Duo Stella(デュオ・ステラ)」として息長く演奏活動をなさることでしょう。㈱ヨベルの安田正人社長が「出会いが出来事になる」という言葉を教えてくださいましたが、まさにそんな出会いと出来事が生まれた2023年の夏でした。ご来場下さった皆さん、遠くから祈って応援して下さっていた皆さん、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

徳丸町キリスト教会ちぎり絵展 2023年7/28(金)~30(日)

同盟基督教団徳丸町キリスト教会(東京都板橋区)のちぎり絵展の様子をご紹介いたします。

徳丸町キリスト教会は、私が20代で初めて日曜礼拝に行った教会です。当時の山口陽一牧師の紹介で、地元の前橋キリスト教会(JECA)の聖書入門クラスに通うようになりクリスチャンになりました。そのご縁からお招きを受け、何と三十数年ぶりの再訪。徳丸町キリスト教会は、私にとっては特別な教会です。

作品は、教会の中谷献一牧師が教会員の男性とご一緒に熊谷市まで教会のワンボックス車で取りに来て下さり、会期数日前に事前に搬入して下さっていました。

  

教会堂は2021年に新たに竣工したばかり。内部は木の芳香がまだ漂っています。

  

会期中の案内表示。教会前の掲示ケースには長年使用している手描きの赤いボードを入れてもらいました。アプローチのスタンド看板も鉢植えを添えて可愛らしい装いに。

  

木のドアから開放感のあるエントランスホールへ。この場所は地域の皆さんを気軽にお招きできる「アート・ギャラリー」として教会の皆さんの長年の祈りから生まれました。下の写真は事前に打ち合わせに伺った時の様子。あちこち採寸しています。

オープンを控え、設営を終えたエントランス付近。普段は連絡用の壁面掲示板を、小品の展示ボードにお借りしました。その下に会議机を並べ赤クロスで覆って作品額を平置きしています。

木の手すりが印象的な階段は、2階の礼拝室へと続いています。左手奥は書棚。書籍の一部を作品額の背支えに活用して展示しました。書棚の枠が私の作品額のサイズにぴったりでした。

ホールの南側はカフェ風のおしゃれなしつらえ。窓の木枠に100円ショップの突っ張り棒を渡して作品を立て掛けています。作品額は滑り止めマットを敷いた上で固定しています。作品は直射日光に弱いのでロールスクリーンは下ろしました。

会場のテーブルに普段使いの和紙や糊、鉄筆、ピンセットなどの小道具を置きました。和紙を自由に触ってちぎってもらっています。

「えっ!コレ和紙をちぎって貼ってるの⁉」と原画を虫眼鏡でまじまじ確認してる方々がいました(笑)。これがちぎり絵?と言ってもらえるのは大きな喜びです。

陳列順に、作品を解説を記載した「鑑賞ガイド」を信徒の方が作って下さいました。教会のコピー機で両面印刷し、丁寧に三つ折りして美しいパンフレットに。お客様はこれを読みながらじっくり作品を見て回っていただけました。

受付カウンターが書籍やハガキなどの物販コーナーでした。来年の「森住ゆきちぎり絵カレンダー2024」等々、グッズ購入で展示を応援して下さったみなさん本当にありがとうございました。

  

サンプルの和紙をちぎっているうちに何か貼りたくなっちゃった子供たち。「にわかワークショップ」とても楽しかったみたいです。

完成ホヤホヤの作品、糊を乾かしているところ。このあと機嫌よくお持ち帰り。私もうれしかったです。

  

二階の礼拝堂。木の香りに心が静まります。最終日の30日(日曜日)は礼拝の中で、和紙ちぎり絵との出合いや、その後思いがけない経緯からクリスチャンになるまでの事を短くお話させていただきました。

徳丸町は坂の多い街。会期中は大変な猛暑が続きましたが、その中を徒歩で、自転車でご来場の皆さん、ご奉仕をしてくださった教会の皆さん大変ありがとうございました。

ちなみに、撤収した作品は翌々日から始まる銀座教文館での展示のため、中谷献一牧師が自ら銀座までお運び下さいました。重ね重ねありがとうございました。

 

2023年は以下の展示会を開催いたしました

7月同盟基督教団徳丸町キリスト教会アートギャラリー
(東京都板橋区)

8月銀座教文館いのちの夏平和フェスティバル
(東京都中央区)

9月福島第一聖書バプテスト教会・エリムの泉ギャラリー316
(福島県いわき市)

12月久留米キリスト教会
(東京都東久留米市)

展示会の様子は追って詳しく掲載いたします。
更新までもうしばらくお待ちください。

福音伝道教団熊谷キリスト教会展 2022年11/5(土)~6(日)


約3年ぶりに教会原画展を開催していただきました。教会員の皆さんもお客様にもこまめな感染対策にご協力いただいて無事終了することができました。その様子をまとめてご紹介します。

●動画/11月6日(礼拝で)
森住ゆき「私はどうしてクリスチャンになったのか」YouTubeはこちら

●動画/11月6日(午後のイベントで)
森住ゆき「私のちぎり絵制作のあれこれ」YouTubeはこちら


福音伝道教団熊谷キリスト教会(小沢聖牧師)は4階建てビル。数年前に民間企業の社屋を教会堂として購入されたそう。礼拝室は2階にあり、外階段には椅子型昇降機が備えてあります。今回の会場は3階です。


会場の3階多目的集会室の写真。オープンスペースとして地域の人を招く計画がコロナ禍でフリーズ。久しく集会もできず、打ち合わせに伺った時も物置っぽい感じでがらんとしていました。


いざ搬入と設営。教会員の皆さんのお手伝いを頂いて会場へ作品を運び込みました。


壁面に会場のレイアウト図を掲示して、教会の皆さんとイメージの共有。


ざっと作品を置いてみたところ。このあとクロスを森住が持ち込んだ赤に替えています。赤は作品が引き立ち、会場が一気に華やぎ、教会員の皆さんも不思議に元気なる色みたいです。


会場入り口の壁面に、いのちのことば社刊行の森住ゆき「日めくりカレンダー片隅の花でも」、全31日分のちぎり絵&ことばを掲示すべく準備中。


コクヨの「ひっつき虫」という接着材(事後きれいにはがせる)でズラリと貼ったところ。なかなかのインパクト。右端奥は森住のプロフィール(略歴)ボードです。


作品は窓の桟に滑り止めマットを敷いて立てかけて設置しました。窓の桟は約10㎝と狭いので、万が一の作品の落下防止のため下記のようなひと工夫を・・・。


ロールスクリーンのレールにタコ糸を通し、作品額を一点ずつフックで止める仕掛けを作っているところ。


さらに、直射日光に弱い和紙作品(褪色が進みやすい)を守るため、教会の方々がすべての窓ガラスに白模造紙を貼付して下さいました。これでロールスクリーンの遮光効果がさらにアップ!


会場の通風換気のため角の押し開け式の窓は、常時開放の状態に。2日間とも好天に恵まれ、あまり寒くなくて助かりました。(^_^)v


企業社屋時代のパーテーションがそのまま残っていたので有効活用。
大きめの作品数点を掲げる準備をしています。


パーテーションの上部に100円ショップで買った丈夫なスチール製フックをかませ、作品を吊り下げるところ。建物の事情にあわせてなるべくお金をかけない設営を心がけます。教会という建物の中の様子をお客様に見て頂くのも、ちぎり絵展の目的のひとつです。


中央にあるのは、今回初展示の作品の一つ。「GENESIS」創世記第一章冒頭の英文をちぎり絵にしたもの。思いがけずコロナ禍で生じた時間で制作しました。展示会が再開したら真っ先に公開したいと願っていました。


ほぼ整いました。赤いクロスがかかっているのは卓球台で、そのお役立ちぶりに教会の皆さんと大いに盛り上がりました。午後2時からはじめて、このあたりで4時を回る。設営時間は2時間半ほどでした。設営は前日までに済ませます。


いよいよオープン!ちょっとずつ修理しつつ長年展示会で使っているこの入口看板、文字はなんと古い友人(デザイナー)の手描きです!


会場入り口。ディフューザーから素敵なおもてなしの香りが流れていました。


来場者には用意したトラクトをお渡し。これで入場者数を自然にカウントしました。トラクトはポストカードのおまけ付き。展示している2作品の絵柄から好きなものを選んでいただきました。


土曜日は午前11時から、日曜日は午後から開場しました。作品は大小あわせて30数点展示することができました。


お客様には感想を残して下さるようにとお願い。壁面にペタペタ貼って下さるのを見ると、私も奉仕者の皆さんも格別に励まされます。


会場置きのモニターではちぎり絵の制作風景や、作品群の映像を。会場には音楽家でもある牧師夫人セレクトの心安らぐ音楽が流れていました。


物販コーナーです。森住の書籍、ポストカード、来年のカレンダーなど。


日曜日の礼拝の中では、私がなぜクリスチャンになったのか、その経緯をお話させていただきました。そのYouTubeはこちら。←うわ~緊張して早口になっとる!


日曜日の午後は、オンラインも併用しつつちぎり絵制作とその周辺についてお話させていただきました。その)YouTubeはこちらです(汗)


こちらの熊谷キリスト教会は各種オンライン配信機材が揃い、スタッフの方々の万全サポートの中でお話させていただきました。


というわけで、あっという間の2日間。5時にクローズしたあと教会のみなさんのお力を借りて撤収作業。1時間足らずで終了。


小澤聖牧師(中央黒マスク)が感謝お祈りをして下さり


みんなで記念撮影!小澤聖先生、熊谷キリスト教会のみなさん、長い間お祈りを経てお招き下さったこと、会場での手厚いサポート、全部うれしかったです。神さまに心から感謝します。

夏のポストカード「水風船」を作る

夏らしいポストカードサイズの小さなちぎり絵です。作り方をちょっと紹介してみますね。モチーフは涼を呼ぶ懐かしい水風船です。

まずは下絵。と言っても丸に適当に曲線や丸を描いただけですが…を「ユポ紙」という強めの性質を待つトレーシングペーパーに転写します。

 

そして水風船にする和紙を用意。
お好みの色でいいのですがグラデーションのある和紙を使うと一気に表情が豊かになります。

 

和紙の上にユポ紙を載せて、鉄筆でギューッと筆圧をかけると和紙に溝ができます。その線に沿って目指す形をちぎり出します。

 

水風船となるパーツをちぎったところです。台紙のポストカード(中央)に糊で貼ってゆきます。台紙は貼った時の「反り」「ゆがみ」を避けるため、絵手紙用などのなるべく厚い紙がおススメです。今回は水色のマーメイド紙を使っています。

 

貼る位置をユポ紙で確かめつつ画面の奥になる風船から貼ってゆきます。
糊は和紙に塗らず、カードにごく薄く塗りのばします。
糊の水分で台紙が湾曲してしまうので。

 

風船の上に模様を用意します。
残った和紙をカッターで軽く弧を描くように、切ってみました。

 

風船に模様線を貼り、最後に残った色紙で小さいポツ点をちぎり出してアクセントに。片隅にちょっとだけ白い落水紙をちぎって貼っています。完成です。

 

この制作プロセスは森住ゆき「和紙のちぎり絵春夏秋冬」日貿出版社刊でより詳しくご覧になれます。同書では、森住ゆきちぎり絵作品約40点と、季節ごとの簡単なカードの作り方も、下絵の型紙付きでご紹介しています。よろしくお願いします。

 

ジューンベリー

いのちのことば社月刊manna2022年6月号表紙絵は「ジューンベリー」。
ちょっとだけ私流の制作プロセスをご紹介。

まずはラフスケッチ(右)をトレーシングペーパー(左)に清書。このトレぺ画面を基準に絵を制作してゆきます。

まずは下地にワインカラーの和紙を貼り、その上に背景に素材の繊維が散った素朴な風合いの薄い紙を貼ることにしました。下地のグラデーションをうっすら拾ってほしいので。

背景の紙を2枚ぴっちり貼った上に「ボウル」用の白い私紙を貼しました。糊で貼ることで下の和紙素材が透けてしまうので、同じ紙をさらにもう一枚重ね張ります。

器の陰影のために「土佐典具帖紙」という極薄紙を使います。微妙なグラデーションが入っているので、自然な陰影にふさわしい場所がどこかないか?と探します。

めあての典具帖紙をそれなりの形にちぎり出して「影」を貼っています。

典具帖紙をもう一枚ずらして濃い目の部分を追加。ちょっと立体っぽくなってる?

色味のアクセントとなる緑の葉を貼ってみます。この時葉っぱの背後にも白い和紙を捨て貼りしています。面倒なんですが、そうしないと緑の和紙が背景の茶色を拾って濁って見えてしまうので。時々ちょっと赤みを置いて、それぞれの色あいのバランスを確認します。

まず果実の赤の基礎色を一面に貼りまして・・・

いざ粒々を貼り!ジューンベリーの色づきは濃淡あって実に複雑。そこが面白いところですね。ちぎり絵は画面の奥から貼ってゆくので、果実にかぶる葉を貼るのは最後です。

果実は事前に一杯ちぎっておきます。丸くちぎるのは、鉄筆で和紙に筆圧をかけると簡単。写真は小さなお菓子の箱にマスキングテープ(黄)を丸めて貼って、粒々を仮置きしているところ。こうしないと机上が散らかってしょうがない←自己流(笑)

粒々をみっちり貼って、ボウルのフチにグレーの和紙を貼って、と最後の仕上げに向かっております。葉の陰影を貼ってから最後に葉を貼ってゆきますl

でけた!「いざ納品発送。制作は少なくとも発行の3か月くらい前です。

モデルになったのは下の写真。

数年前に表紙絵のお仕事をいただいた「366日元気が出る聖書の言葉」の著者、岩本遠億先生がSNSに投稿されていたのをわけて頂きました。昨年ご自宅の庭での収穫だそうですが、実は器のフォルムもそのまんまですがな(笑)。感謝、感謝です!

6月の憂鬱をはじき返すような鮮烈な果実の色。熟すほどに深みを増してゆく赤色の豊かさ。いづれ写真ではなく本物を見たいです。って、まだ見たこと無いんですよジューンベリー。←えええええーっ!(汗)

柚の餅、と書いて「ゆうもち」と読むそうです。え、なんで?という疑問はとりあえず脇に置き、餅にたっぷりまぶされ超高級、阿波和三盆糖の質感をどうしたもんか、と必死に制作。

 

このお菓子、私がまだ食べた事がないと知った大頭眞一先生が、わざわざ鶴谷吉信のお取り寄せを直送してくれたのですが(何ちゅう律儀な!)、ふわっと柚が香る何ともお上品なお味の小粒餅でした。