1/子供のころ

*和紙ちぎり絵との出会い&その後クリスチャンになる迄を綴っています

私は群馬県桐生市郊外の小さな農家の長女として生まれました。小学一年の秋に東京五輪があり、世の中は目覚ましい経済成長期でしたが、わずかな稲作と養蚕を営むわが家は大変厳しい暮らしぶりでした。親の、精一杯の愛情を受けて育った。それは間違いありません。ですが、気性が激しく怒りやすい父と義母に黙々と仕える母の忍耐を、朝に夕に目撃する日常は子供心にはなかなか辛かったです。

幼稚園や小学校は、何をするにも気おくれして人の輪の中に入ってゆけない子供でした。大人にも友達にも、自分の気持ちを表明することがひどく恐ろしい。今や誰も信じてくれませんが、低学年の頃は教室でほとんど口を開かない生徒でした。入学時からずっと続くその状態を心配した先生に何度も家庭訪問されて、それがまた苦しかったです

その頃の楽しみは非日常に沈潜できる読書でした。もともと本好きだった父が、年に数度、私の手元にピカピカの分厚い「少年少女世界の名作文学」が届くようにしてくれていたのです。今にして思えば、大変な貧しさの中でそれは途方もない贅沢でした。

小学校の数年間で全30巻。世界中のいろいろな物語を片っ端から、何度も繰り返し読みました。最も心ひかれたのは中国の「聊斎志異」という不思議な短編小説集です。またディケンズ、トルストイ、ヘッセ、ユゴーなども夢中で読みました。

全集に収められていた「ベン・ハー」や「クオ・バディス」を読んだのは小学3~4年生の時です。それら西洋の文学作品を通して、私はおぼろげながらキリスト教というものの存在を知りました。でも、それは自分の生活とはかけ離れた、あまりに遠い外国のお話でした。(続く)

 

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