(2010年月刊マナ11月号表紙・2021年和紙ちぎり絵カレンダー)
いつ頃からか忘れましたが、苔好きです。京都では苔庭のある寺ばかり行きたくなるし、苔フェス状態の深い森(八ヶ岳北麓のような)を横断する時の気分は最高です。どちらもずいぶんご無沙汰なのが残念ですが、それでも、わが庭の隅で猛暑にやられていた苔が、何事もなかったように青々している今日この頃がうれしいです。苔はいざ育てようとするとデリケートで難しいですが、一方で意外としぶといことに感心します。
なぜだか苔に心が持っていかれることと、和紙のケバケバが好きな性分はどこかで繋がっているかもしれません。なので、苔の制作はなかなか楽しかったです。何しろ緑色の和紙は、もうちぎるそばから、ん?もう苔?ほれ苔!まさに苔‼という感じでしたから。
小鳥も好きでよくモチーフにします。聖書の中に「空の鳥を見よ」という言葉があります。明日の暮らし向きの心配を手放せ。そもそもいのちはすべて神の養いのうちにあることを思い出せ。見てみろ、あの空の鳥がそうじゃないか、と。人生の曲がり角で、私は幾度となくこの言葉に励まされてきました。
種まきも、刈り入れもせず、就業もしていていない(笑)鳥が、朝に夕にこぼれ落ちた草の実や羽虫をついばんで空に飛び立ってゆく。たとえその先が曇り空であっても、さらに上は間違いなく青い空です。