3/和紙ちぎり絵と出会う

*和紙ちぎり絵との出会い&その後クリスチャンになる迄を綴っています

2年間デザイン学校で学んだあと、私は前橋市に本社を置く企業の広報宣伝部に就職しました。その職場の直属の上司が一風変わった人で、入社早々「会社だけの人間になるな。何か面白いことをやれ」と言い、先輩デザイナーと「二人展」を開くように、と市内のギャラリーを勝手に予約してきたのです。「じゃ、半年後(11月)に開催だからな!」と宣告されました。ギャラリーの賃料は先輩と折半ですが、つまり自分の給料から出しとけと。

特に創作意欲もなく、仕事をして給料をもらえればそれでよいと思っていた私は途方にくれました。そんな時、東京に進学した友人から私に宛てた手作りの誕生カードのことを思い出しました。「いろいろあるけど、がんばろうね」と結ばれたメッセージの脇に、和紙をちぎって貼ったフリージアの花が一枝。

あらためてよく見ると、そのケバケバは何とも素朴で、独特の描線を生んでいます。「ちぎり絵」というものらしい。周囲に誰もしている人がいない。簡単そう。これだ!と思いました。

本屋に行って「和紙ちぎり絵入門」という手引き書を買い、仕事から帰ると自室で見よう見まねで始めてみました。実際にやってみると、それは和紙以外の道具はほとんど身近にあるもの、文具店で安く入手できるもので間に合い、特に難しい技法も必要ないという事がわかりました。

と同時に、同世代で「ちぎり絵」をしている人がいない理由もすぐにわかりました。書店に並んでいるどの入門書も、お手本とされる絵柄はみな古色蒼然(失礼!)と言いますか、静的で、お行儀がよく、躍動感がない(本当に失礼ですみません)のです。

その一方で、せっかく和紙片を用いながら、限りなく西洋油彩画の筆のタッチを目指しているのだろうか?と思われる作品も多くありました。私はどうにも腑に落ちないモヤモヤした感じがしてなりませんでした。
(続く)

 

 

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